大阪で ２

大阪で叔母のパーマレッドの家にも行った。

　※説明しよう。
　うちの母親は美容師の四姉妹でそれぞれ全員、
　得意技と髪の毛の色が違うのだ。
　長女は「パーマレッド」、
　次女は「ロット巻パープル」、
　三女（うちの母親）は「カットグリーン」、
　四女は「着付けピンク」。
　これに、銀髪のヅラを被った「ヅラシルバー」こと
　祖母のなつを加えて５人のパーマ戦隊となる。


さて、長女パーマレッドであるが、この叔母、
以前からいおを特別可愛がってくれている叔母で、
いおも「ままあきちゃん」と呼び、大変なついている。

叔母の家に向かう車の中でも、いおは待ち切れず、
叔母を讃える即興の歌をつくって大声で歌っていた。

「♪ままあきちゃーん、ままあきちゃーん、
　どうしてボクにやさしいのー。
　いっつも、いつも、ボクのことー、
　かーわいがってー、くれているー。
　ままあきちゃーん、ままあきちゃーん、
　もうすぐ会えるの、うれしいよー♪」

叔母の家につくと、嫁いだ叔母の娘、
つまり私のいとこが帰省していた。
いとこは私の妹と同い年。３６歳だ。
どうやら現在、懐妊の兆しありとのこと。
つわりで食欲がなく具合が悪いので
帰省中なんだと。

パーマレッドに待望の初孫か！やったぞ。
これはめでたい！

佳代ちゃんが、うれしそうに、
「今ね～、お腹の中に、ちーっちゃな赤ちゃんが
　入っているんだよ～。」
と説明すると、いお、顔を輝かせ、
どれどれ？と
あろうことかパーマレッドのお腹を撫でるではないか。

違ーう！妊婦はそっちじゃなーい！

いおに腹を撫でまわされ、７０歳超えた叔母は
まんざらでもなさそう。　

「あはは、残念、ままあきな、もうな、メンスないねん。」

・・・・いとこのつわりよりも食欲減退しそうな 、残念な
カミングアウトを耳にする羽目になった。


気を取り直して、取材散歩に出る私。
さすが下町。
叔母の家の近所には古い木造アパートや長屋が沢山あり、
今回の『星守る犬』の作画の資料にぴったりなので、
何枚か写真をとった。

もどってみると、いおが叔母に土下座しているではないか。

「どうか、お願いします！ここに泊めて下さい！頼む！」

築８０年の完全に傾いたオンボロ長屋に泊まりたがり、
必死で土下座までする息子に一同大笑い。
彼の嗜好はよくわからない。
長屋の何がそんなに魅力的なのか。

いおの捨て身の懇願のおかげで（？）
パーマレッド・ロングハウス（叔母の長屋）に
一泊させていただけることになった村上家であった。

「大阪で　３」へ続く。